ダイレクトボックス(D.I)の選び方
D.Iとは
ダイレクトボックスという物は、楽器(ギターやベース・キーボード)演奏者において使用する機器です。
アーティスト個人でお持ちの方も多く見受けられますが、どういうものなの?
と聞かれて説明するのは難しいかもしれません。
一言で言うと、不平衡信号を平衡信号に変換するための機材。
といわれても、「へっ??」「はぁ??」と言う言葉が返ってくるのがほとんどですw
楽器のライン出力は不平衡(アンバランス出力)で、そのケーブルを長く使って使用するとノイズの乗りやすいものになるばかりか音質劣化も生じます。
遠く離れた場所に音響をセットする際に不都合であるし、お客様にも迷惑な音になってしまいます。
ノイズに強い平衡(バランス)出力に変換して長く引き回したケーブルにおいてもノイズが乗らず安定した音質で送れる様にするための装置がD.I(ダイレクト・ボックス)です。
代表的なD.I
カントリーマン type85の場合
基本的なセッティング インプット面 楽器からの入力:INST. アンプへ繋ぐ出力:AMP. ※通常はPICUP側にスイッチを設定 アウトプット面 音響卓へ:MIC OUT PUTから卓チャンネルへ ※グランドスイッチは、ノイズが気にならないならGND側に設定。 |
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スタンダードなD.I {特徴}太い音から高音まで綺麗に再生してくれる 特にベース・アコースティックギターなどはこのD.Iを使用することでキチンとした演奏をPAできる。 |
BOSS D.I
基本的なセッティング インプット面 楽器からの入力:INPUT. アンプへ繋ぐ出力:PARA OUT. ※通常はAUTOにセット。 ATTは楽器に合わせ、入力が大きいようなら調整する。 アウトプット面 音響卓へ:BALANCE OUTから卓チャンネルへ ※上部スライドスイッチはINVにセット。 グランドはNORにセットする。 |
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日本製D.I {特徴}音質は、低音が物足りない キーボード・PCアウトなどには使えるが、生ギターやベースでは物足りない。 ※3番ホット仕様なのでINVセッティングにしないと楽器の音が痩せてしまう場合があるので注意が必要 |
BSS AR-116
基本的なセッティング インプット面 楽器からの入力:INPUT. アンプへ繋ぐ出力:INPUT LINK. ※通常はAUTOにセット。 ATTは楽器に合わせ、入力が大きいようなら調整する。 アウトプット面 音響卓へ:OUTPUTから卓チャンネルへ ※下部スイッチ軍左は楽器の音量により調節。 左から二番目のスイッチは、基本的に真ん中。 左から3番目のスイッチはグランド。ノイズが無い場合は上。 一番右のスイッチは、上にセット。 |
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日本製D.I {特徴}音質は、低音が物足りない キーボード・PCアウトなどには使えるが、生ギターやベースでは物足りない。 |
お勧めD.I
マス工房(model382)
数あるD.Iの中でも音質が一番クリアで、楽器の生音を忠実に再現しているものです。
私も所有しているDIで、他の技術者にお貸しして何度か使ってもらっておりますが、決まって帰ってくる返事が「これいいね!」というお言葉をいただく逸品です。
価格は4.8万円という金額では在りますが、それをもってしても確実に満足の行く商品です。
ギターやベースに使用した場合、他のD.Iとは違い弦の一本一本の響を忠実に再現してくれているといった感じで、バンド演奏時にも突出せずなおかつ存在感のあるサウンドを作り出してくれる逸品です。
高中正義氏(ギタリスト)が使用した際に気に入り購入した事をきっかけに、多くのアーティストさんが所持するようになったという逸話を持つD.I
現在販売されているのはmodel382。
販売金額 48,600円+送料1,500円
Mass工房 model382の詳細はこちらから
COUNTRYMAN(type85)
ベースを使用するならこのDIかmodel217のどちらかを選ぶのがいいでしょう。
音響現場でいちばん多く使われているDIです。
今でも、カントリーマンは多くのプロミュージシャンに使用されている機器です。
音は太く、高い音までしっかりと再生してくれるので、締まった音になります。
D.Iで音が変わることはそれほど感じないです。
多少のチャンネルEQ操作が必要。
BOSS(DI-1)
キーボード・ギターなどの楽器には上の二つより安価なこのDI-1がよく使われます。
使用で気をつけなくてはいけないのがこの製品3番Hotになっています。
マイクと使っていて逆送にならないようリバース(INV)を掛ける必要があるでしょう。
ベースやアコースティックギターには使いづらい音です。
全体的に平坦な音になります。太い音や高音の伸びに不満が出る機種です。
チャンネルEQで調整しても、くっきりとした音に近づけるのは難しい。
BEHRINGER(DI100 Ultra-DI)
安価ではあるが十分使えるDIだと思います。
低音に物足りなさがありますのでベース用には向かない気がします。
キーボード・ギターなどに使う分には問題は無いでしょう。但しチャンネルEQでの音補正が必要です。
BEHRINGER(DI20 Ultra-DI)
▲DI20 Ultra−DIの詳細は画像をクリック
2チャンネルで安価なD.I。
使用する場所、特に床下に電源ケーブルが這わされている場所や、ACアダプター付近だとノイズを拾う事が多いです。
使用するには、設置場所を選びます。
音は、平坦でのっぺりとした音。チャンネルEQでの調整しても満足の行く音になるのは難しいです。
キーボード・PCなどに使用するのは良いかも知れません。
バウンダリーマイクロフォン
バウンダリーとは、主にお芝居などに使用されることが多いマイクです。
形も一見マイクにはみえないようなマイクです。
反射音を拾うように設計されているマイクで、床起きで使うことが多いマイクです。
お芝居のほかにも、琴の下に仕込んで使ったり司会者の卓上に置かれることもあります。
crown PCC-160
■バウンダリーマイク
■指向性:ハーフカーディオイド
■周波数特性:50Hz〜18kHz
■インピーダンス:150Ω
■寸法:170.2W×21.3H×81.3Dmm
■重量:326g
■電源:ファンタム12〜52V
■ケーブル:XLRコネクター付4.5m
プロ音響でバウンダリーといえば、ほぼこのタイプのマイクを皆さんお使いになっています。
しっかり、イコライジングしてあげればマイクで拾っているとは思えない自然な音で出力することが可能です。
舞台カマチ部分に設置しても邪魔にはならない設計です。
お芝居で使用する場合、足で蹴られる可能性もあるのでガムテなどで養生する必要がありますが、その作業もしやすいつくりになっています。