mixerの使い方〜バンドオペでの機器選択〜

バンドオペレートで気をつけなくてはいけない機器選び

出力系の充実

まず考えなくてはいけない事がこれでしょう。

バンドオペに関して、予算が取れるならば「ハウスオペレート」「モニターオペレート」と分けるのも良いでしょう。
また、そのような仕事をされる方はこのページのアドバイスなど必要とはしないはずです。

問題なのは、ハウスオペレートのみでバンドモニターまでまかなう場合、出力系は多いに越した事はありません。
モニターには最低でも「フット」「サイド」「ギター」「ベース」「キーボード」「コーラス」といったように系統が幾つか必要になります。
各モニターをならすだけでも出力は6系統必要になります。

しかし、オグジュアリが6系統以上あるmixerというのはそうそう手に入らない金額であったり少人数では運べないほど重い物だったりします。
しかも、オグジュアリーからはモニターだけではなく、リバーブやエフェクト系に音を回す必要もあります。
また、オグジュアリーには「プリフェーダー」「ポストフェーダー」という仕組みがあります。

プリフェーダーとポストフェーダー(AUX)

※プリフェーダーとは
  チャンネルフェーダーの操作に関係無く、チャンネルに入った音をユニティレベル(規定レベル)でオグジュアリアウトに送るシステムです。

※ポストフェーダーとは
  チャンネルフェーダーの操作に連動し、フェーダーの動作に応じた音をオグジュアリアウトに送るシステムです。

要は、プリフェーダーでエフェクトに送るとメインで出ていない音でも(フェーダーを一番下まで下げていても)そのチャンネルの音は出ているということです。
例えば、プリフェーダーオグジュアリアウトでモニターに繋いだとします。
ボーカルが1人・カラオケをMD再生したとします。
「2コーラスでフェイドアウトして欲しい」という要望がありメイン操作ではフェイドアウトしていてもモニターからは規定の音でなり続けるといった不具合が出ます。
それを、ポストフェーダーで送ると、フェイドアウトと同時にモニターのカラオケもフェイドアウトしていくという具合になります。
どちらが作業効率がいいかは一目瞭然です。

では、プリフェーダーは必要ないのか?
という疑問が出てくるかもしれません。がそうとも言い切れません。
ヴォイスチェンジャー使用で音声を変え元の声は出さずに加工した声だけを出して欲しいといった場合、元の声はフェーダーOFFにしてエフェクトのみを拡声すると良いでしょう。其の場合にはプリフェーダーのほうが都合が良い場合があります。
時と場合によりけりで使い分けを行なう事をお勧めします。

グループアウト

グループアウトに関しても 出来れば多いに越した事はありません。
多ければ多彩な振り分けが可能になりますが、少ないと其の制限の中で何とかしなくてはなりません。
オグジュアリアウトが不足した場合、サイドフィルをグループアウトから出力するなどの使い方も可能になるだけではなくトラブル発生時に即座に対応できるためにも余裕の有る方が対応しやすいからです。

マトリクスアウト

mixerの中では、マトリクスアウトを装備している物もあります。

この機能は、各チャンネルの音をグループに振り分けしたとします。
其のグループの必要な音をマトリクスで選択して出力するという仕組みになっています。
この場合、各チャンネル単体の音はグループ経由で送るという面から路線バス経路にたとえられる事が多いです。

ようするに、各チャンネルからのアサインはバス停留所でグループが乗り継ぎ場所となるわけです。
最終目的地がメインなのかマトリクスなのかグループアウトなのかという音の流れが生まれてくるわけです。
オペレーターは乗り継ぎ指示をしてあげるナビゲーターなわけです。

イコライザー(チャンネルEQ)

基本的な外音(お客様の聞く音)と中音(モニターの音)は31バンドEQで均しておく必要があります。
しかし、リハーサル時にアーティストさんに「ギターの音をもっと厚みを持たせて欲しい」などという要望が出てきます。
その際、mixerのチャンネルEQで個々に調整しなくてはいけません。
各アーティストさんの要望にお答えするEQ操作をする場合、どうしても特定帯域を調整できるEQであるほうが好みの音に作り上げる事がし易くなります。
最近のmixerでは少なくなりましたが、昔のミキサーの中にはプリEQとでも言いましょうかチャンネルEQをいじってもオグジュアリ出力には影響しないといったmixerもありました。
そういった面でも、購入しようとする機器を十分に把握しないと後で使い勝手の悪いものになってしまいます。