モニター用フェーダーを作る〜プロPA屋はこうやっている〜

メインのフェーダーとは別にモニター用フェーダーを作る

頭分け

回線不足でも頭わけと書きましたがあれは実際には頭わけというわけではありません。
便宜上そう名づけさせてもらいました。
こちらのほうは頭わけの部類に入るものです。

メイン卓のAUXアウトを使いモニターを調整する場合、アーティストさんによっては音質を要求される場合があります。
その際に有効なのがこの手法です。
例えばヴォーカルマイクのフットへの送りの音量や音質などを別に調整したいがそれをすることによってメインのヴォーカルの音質までもが変わってしまいそれでは都合が悪い場合です。

その他、ギターやキーボードなど回線数と相談しながら行うと良いでしょう。

頭わけの利点・難点

この技法の利点としては、メインに影響なくモニター回線の音質・音量を調整できるということです。
難点としては、一つの回線を二つに分けるわけですから電圧減衰が生じるという点です。
二つに分ける分にはさほど気にするほどでもありませんが、3つや4つなどに分配しなくてはいけない場合はそれなりのパラボックスを使用したほうが良いです。

実際の手法説明

実際の方法としては、パラボックスもしくはYパラケーブル、カナレ製のマルチ使用であればマルチボックスのメス側から卓にメイン用ヴォーカル・モニター用ヴォーカルの2つのフェーダーに一つのヴォーカルマイクを使うと言った具合です。

メイン出力の音質はそのままメインにアサインしモニター用ヴォーカルはモニターにアサインすることになるのでそれぞれ個別に音量や音質などを調整できますしメインの音を上げたが為にモニターでハウリングを起こすことになるといった事(ポストフェーダーAUX時)を防ぐことが容易になります。

また、講演会などで卓上マイクを使いまわしてハンドでも使うなどというときにも私はこの技法を使うことがあります。
卓上セッティングの場合はオフマイクになりがちなので、ゲイン(入力レベル)を高めに取ります。
そのマイクを手持ちで使った場合、音量は大きくなりすぎるのもありますがロー成分が強すぎるという現象もおきます。
講演会で数名が講演される場合、卓上スタンドのまま使用される方・手持ちで最後まで通す方・その両方を使い分ける方など講演者によってマイク使用方法は変わる場合が多く、その多くの方々が本番寸前に会場入りすることが多いです。
その場合も、オンマイクフェーダーとオフマイクフェーダーを作っておきその両方でほぼ一緒の音質音量の調整をしておけば瞬時にフェーダーチェンジで対応でき私にとっては便利な使い方となっています。
別にそうしろというわけではありません。貴方がフェーダー1本で十分対応できると思えばそれはそれでかまわないしそのほうが貴方の操作性が上がるのであればそちらのほうを選ぶべきです。