バンドオペレートについて
今までパワードミキサー使用していてミキサーから直接スピーカーに接続して使っていました。今回、バンド形式でオペレートをするために機材購入を考えています。
しかし、つなぎ方等が良くわかりません。といった質問を受けました。
簡単に機器選定方法などを説明できるといいかと思いページを立ち上げました。
このページでは、重要機器について解説しています。
バンドオペレートの機器を選ぶポイント
バンドをオペレートすると言うことは、お客様に音を届ける・バンドメンバーにモニターを返すという作業を同時に行う必要が出てきます。
お客様はもちろん、バンドメンバー一人一人にモニターを設置するとなるとそれだけ分の音声アウト回線が必要になります。
お客様に届ける音は、通常音響卓のL/Rが使われます。バンドのモニターには、AUX(オグジュアリー)が使われることが多いです。なぜなら、パートによって欲しがる音が違うからです。
AUXを使用すれば、各チャンネルのつまみで調節することが可能なので便宜上使用されるのです。
バンドモニター回線確保の為にも出力系統の多い卓を選択する方が余裕を持って安心を得られます
AUX出力が必要ぎりぎりの卓を選ぶのはお勧めできません。
機械にはトラブルがつき物です。予備として幾つかchを確保していたほうがもしもの時に安全なのです。たとえば、ドラム・ベース・ギター×2・キーボード・ボーカルといったバンド編成のオペレートをすると仮定します。
ドラムに一台・ベースに一台・ギターに二台・キーボードに一台・ボーカルに二台のモニターが必要になります。
各モニター出力を確保するとなると、AUX出力は7系統必要になります。
ただし、ギターとボーカルの出力が1系統ずつで済むのであればモニターに使うAUX出力は5系統で十分ということになります。
しかし、いずれかのAUXの1chが故障してしまった場合に予備のチャンネルがあれば即座に対応できるからです。
機器選びにはもしもということも想定に入れて選ぶ必要があります 。
インプットにも余裕を
アウトプットに余裕を持つと同時にインプットにも余裕を持つ必要があります
理由は述べるまでも無いかと思いますが、ch不良になった場合に空いたチャンネルを予備として使える。 それ以外にも、予定と違って多くの回線を使わなくては行けない場合があげられます。
バンドオペレートの際予定ぎりぎりのch卓を持っていった場合、急遽予定外の楽器を繋がなくてはいけないことがでてきます。その際、チャンネルに余裕がないと 対応が出来なくなる事になります。
急遽繋がなくては行けない楽器が、バンドの要となる楽器だったとしたら他のch回線を省いてでも繋ぐ事になります。
しぶしぶバンドさんは了承することもあるとは思いますが、自分の音が削られるとなると演奏者としてのテンションはどうしても下がってしまうものです。
音を纏めるという作業の前に、演奏者に気持ちよく演奏をしてもらうのも音響の仕事です。
そういった観点からも、余裕のあるチャンネル用意は大事な事だと認識してください。
各楽器に合ったマイクや機器を選ぶ
インプットに関しても各楽器に最適な機器選択が必要になります
音が拾えれば安いマイクで大丈夫だろう。という考えは危険です。
各楽器にはそれに適したマイクなどが存在します。たとえばバスドラム(キック)に立てるマイクがまったく低音を拾わない。大きな音に負けて割れてしまうマイクだった場合。バスドラム本来の音を出すことが出来ず、迫力負けするか常に音割れした状態での出力になりかねません。
マイクを買う時には、各マイクの特性などを十分に考慮し何に必要か。どういった楽器に代用可能なのかを見極めて選ぶ必要が出てきます。
マイク製作会社も、このマイクはどの楽器またはボーカルに適したマイクを作るかという指針を出してから設計するのが通常です。
それを無視して使用するということは、当然お客様も演奏者も満足行くステージは出来なくなります。
良く使われるボーカルマイク
プロ音響ステージで良く使われるマイクとは
ステージでよく使われるボーカルマイクは、ダイナミックマイクと呼ばれる種類のものが多いです。
人によっては、コンデンサーマイク(電源供給が必要なマイク)を使用する方々もいらっしゃいます。たまにご自身で持ち込まれる場合もあるので、コンデンサーマイクなのかどうなのかを判断できるようにマイクの種類や機能の知識を身につける事も大事です。
もし、判断できない場合は知った振りするのではなくしっかり確認しましょう。
楽器取りに使われるマイク
楽器に立てるマイクは定番マイクから専用に作られたマイクが存在します。
一口に楽器用マイクといっても多種多様なマイクが存在します。
色んな音を出す楽器があるのですからそれぞれに特化したマイクというのも多いということです。
そのマイクだけでも特に問題は無いのですが、出来ればドラム用のマイクやシンバル系を拾ったりピアノの音を拾えるマイクを別途用意しておいたほうが主催者の要望をかなえることが容易になります。
例えばドラムのマイクは下の図のようにセットします。
マルチマイキングにする必要があるかどうかは、会場の広さやドラムセットの生音を聞きながらセットしていきます。
D.I
ギター・ベース・キーボードなどにはD.Iを使用することが多い。
ギターやベース、キーボードなどの楽器を長いケーブルで引き回して音響卓に接続するとノイズが発生したり音質が悪くなったりする可能性があります。
ギター・ベース・キーボードはマイクと違いハイインピーダンス出力設計でできています。
機器を繋ぐケーブルはほとんどが、アンバランスケーブルを使用しています。
アンバランスケーブルは、その特性から長く引き回すと周囲のノイズを拾ったり音質が変化することがあります。
そのトラブルを防ぐためにもPA現場ではD.I(ダイレクトボックス)を使い対処します。
D.Iには電源を使用するタイプと電源が必要の無いタイプがあります。
各D.Iにはそれぞれの特色がありますので機器によって使い分けることが多いです。
オペレート卓と舞台の通信
舞台転換などが多い現場ではオペレートする人と舞台との連絡連携が重要になります。
舞台でマイクセッティングするスタッフとオペレートする人が次にどのマイクをどの楽器に使用するのかという連絡が出来れば本番時に楽器やボーカルの音が出ないというミスを防げます。
実際の現場ではインターカムというシステムを使用することが多いです。
舞台上で幾つかの演目やバンド演奏を行う最、本番前に追加の楽器などが増えて新たにマイクなどを設置する事があります。
その際、あまっているマイクとケーブル&スタンドを使い設置することは可能ですが、それをメインオペレーターに連絡する必要が出てきます。
連絡せずに設置だけしても当然表やモニターから音は出てきません。
また、舞台転換の多い現場でリハーサルを行った場合でも、実際に本番に入って使用マイクの変更を余儀なくされる場合が出てきます。
そんな時に、メインオペレーターの元まで何度も走り連絡することは困難になります。
多くのプロ音響現場ではその連絡網としてインターカムシステムを使い舞台とメインオペレーターが会話でやり取りできるようにします。
インターカム以外でもトランシーバー類やパワードモニタースピーカーとマイクを使用する場合があります
インターカムとは、双方向会話可能な連絡システムです。電話のように会話が出来て、連絡をスムーズに行えるシステムなのです。
会館などでも所持しているのでそこで借りることも可能ですが、野外現場やインターカムを持ちえていない会場での連絡網として所持していたほうが良いでしょう。
とはいっても、インターカムシステムは比較的高価なものが多いです。
それで、音響屋の手元にある機器でシステムを構築することがあります。
それが、パワードモニタースピーカーとマイクを使っての相互会話システムがその類です。
それ以外でも、トランシーバーを用意している場合もあります。
多くの現場ではモトローラー社のトランシーバーを使用することが多いです。